はじめに

◆ウイルスや細菌に感染したことで起こる胃腸炎を総称して『感染性胃腸炎』といいます。
冬は、ノロウイルスやロタウイルスをはじめとするウイルス性の胃腸炎が流行りやすいです。汚染された食品を摂取したり(食中毒)病原体が人の手を介したりして口に入ったときに感染する可能性があります。

感染性胃腸炎とは

主な病気の特徴

ロタウイルス
乳幼児のウイルス性胃腸炎の原因として最も多く見られるウイルスです。冬から春に流行し、感染すると2-4日間の潜伏期間を経て、激しい嘔吐、発熱で発症し、続いて米のとぎ汁のような白っぽい下痢便が見られます。下痢は4-7日間持続することが多く、長いと2週間続くときもあります。まれに重症化することがあり注意が必要です。けいれんや意識の低下がみられる場合には救急受診をした方が良いでしょう。

ノロウイルス
カキなどの二枚貝を十分に加熱せず食べた場合やウイルス感染した人の便や吐物に触り、手指を介してウイルスが口に入ると感染を起こします。非常に感染力が強いウイルスで、冬に流行し、感染すると12-48時間の潜伏期間を経て、突然の嘔吐で発症します。下痢や腹痛を伴うこともあります。通常は1-2日間で回復しますが、その後1-2週間は便の中にウイルスが放出されることがあるので、周りの人への感染に注意が必要です。

治療方法

細菌感染が原因の場合は抗生物質を使用することがありますが、点滴などにより脱水を防ぎ、吐き気をやわらげる対症療法が中心です。無理に下痢を止めると治るのが遅くなったり重症化したりすることがあるので、下痢止めは使用せず整腸剤を内服する場合が多いです。

乳幼児では脱水を起こしやすいため注意が必要です。
脱水症状が疑われる時には早めに病院受診してください。

~もしも感染性胃腸炎になってしまったら…家庭で行える3つのホームケア~ 
脱水予防
脱水にならないように、水分を少量ずつ頻回に与えましょう。吐き気が強いときは1時間ほどお腹を休め、吐き気が落ち着いてきたら水分摂取を開始します。まず小スプーン程度の量を5-10分おきにこまめに与えます。1回量を1-3口程度にとどめ一度にゴクゴク飲まないよう気を付けて下さい。飲み物は糖分と塩分がバランス良く含まれた経口補水液
(OS-1、アクアライトなど)が理想ですが、リンゴジュースや具なしスープなどでも良いでしょう。経口補水液はリンゴジュースと1対1で混ぜると、飲みやすく効果も高いです。
小さなお子様では通常通りのミルク・母乳だけで問題ありませんが少量ずつ頻回に授乳します。
感染予防
吐物や便には多量のウイルスが含まれています。手に付着したウイルスが口から入ることが最も多い感染経路であり、これを防ぐにはしっかり手を洗うことが重要です。嘔吐物は、ビニール手袋・マスク・エプロンを使用して、きれいに拭き取ります。アルコールはウイルスに対する消毒効果がないため、次亜塩素酸(ミルトンやハイター)を使用します。
おしりを清潔に
市販のお尻拭きなどでこすると刺激になり皮膚がただれることがあります。オムツ交換の度におしりをシャワーなどで
きれいに洗い流すようにして下さい。おむつを当てる前に、おしりを良く乾燥させることもおむつかぶれを防ぐポイントです。

執筆:澤村 清美 (看護師)

こちらの記事もおすすめです