貨物自動車運送事業における取引環境の適正化を図ることなどを目的として改正され、令和6年5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」の一部が、令和7年4月1日より施行されます。そこで今回は、貨物自動車運送事業法に係る主な施行内容の概要をご紹介します。
貨物自動車運送事業法に係る主な施行内容は、次の3項目です。
1.運送契約締結時等の書面交付義務
2.下請事業者の健全な事業運営の確保に資する取組(健全化措置)を行う努力義務、当該取組に関する運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任義務
3.実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成・保存義務
1.運送契約締結時等の書面交付義務
次に掲げる運送契約締結時には、相互に書面を交付する義務があります。
①真荷主(自らの事業に関して貨物自動車運送事業者との間で運送契約を締結して貨物の運送を委託する者であって、貨物自動車運送事業者以外のもの)及び貨自動車運送事業者(除:特定貨物自動車運送事業者)が運送契約を締結するとき
②貨物自動車運送事業者等が他の貨物自動車運送事業者等の行う運送を利用するとき
【書面に記載する事項】
書面に記載する事項は、次のとおりです。
a.運送の役務の内容及び対価
b.運送契約に運送の役務以外の役務(荷役作業、附帯業務等)が含まれる場合には、その内容及び対価
c.その他特別に生じる費用に係る料金(例:有料道路利用料、燃料サーチャージなど)
d.運送契約の当事者の氏名又は名称及び住所
e.運賃・料金の支払方法
f.書面の交付年月日
2.健全化措置の努力義務等に関する事項
健全化措置の努力義務とは、貨物自動車運送事業者等が他の貨物自動車運送事業者の行う運送を利用するときに、当該他の貨物自動車運送事業者の健全な運営を確保するための措置を講ずるよう努めることをいいます。具体的な健全化措置の内容として、次の事項が定められています。
①利用運送に要する費用の概算額を把握した上で、当該概算額を勘案して利用の申込みをすること。
②自らが引き受ける貨物の運送について荷主が提示する運賃・料金が①の概算額を下回る場合にあっては、当該荷主に対し、運賃・料金について交渉をしたい旨を申し出ること。
③委託先の一般貨物自動車運送事業者が更に他の一般貨物自動車運送事業者の行う運送を利用する場合に関し、例えば「二以上の段階にわたる委託の制限(再々委託の制限)」等の条件を付すこと。
3.実運送体制管理簿作成等に関する事項
実運送とは、事業用自動車を使用して行う貨物の運送をいいます。真荷主から引き受けた1.5 トン以上の貨物の運送について、他の貨物自動車運送事業者の行う運送を利用したときは、貨物の運送ごとに、以下の事項を記載した実運送体制管理簿を作成し、その引き受けた貨物の運送が完了した日から1年間、これを営業所に据え置かなければなりません。
【実運送体制管理簿に記載する事項】
a.実運送事業者の商号又は名称
b.実運送事業者が実運送を行う貨物の内容及び区間
c.実運送事業者の請負階層
※施行内容の詳細については、国土交通省のホームページをご覧ください。

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記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社