飲酒運転や点呼未実施による違反が後を絶たないことから、このほど違反行為に関する行政処分の基準が改正され、飲酒運転に係わる違反へ行政処分が新設されたほか、点呼の未実施や改善基準告示違反に対しても行政処分の基準が強化されました。この改正は、令和6年10月1日より施行されます。そこで今回は、新設・強化された行政処分の内容をご紹介します。
◆飲酒運転に対する行政処分(車両の使用停止日車数)の新設
これまで飲酒運転に対する車両の使用停止に係わる日車数については、ドライバーが飲酒運転を行ったことに対する日車数(初違反100日車 再違反200日車)のみでしたが、次の2つの項目が新設されました。
①点呼の未実施(飲酒運転が行われた場合において、点呼が未実施)
⇒ 初違反100日車 再違反200日車
②指導・監督義務違反(飲酒運転が行われた場合において、飲酒運転防止に関する指導が未実施)
⇒ 初違反100日車 再違反200日車
したがって、ドライバーが飲酒運転を行ない、かつ、点呼が実施されていなかった場合は、初違反でも200日車、さらに飲酒運転防止に係わる指導監督も行われていなかった場合は、300日車となります
◆点呼の未実施と勤務時間等基準告示の遵守違反に対しては累進制を導入
点呼の未実施および勤務時間等基準告示の遵守違反の場合の行政処分も見直され、点呼の未実施の場合は未実施20件以上から、勤務時間等基準告示の遵守違反の場合は未遵守6件以上から、それぞれ累進制が導入され、違反件数に応じて日車数が積み上げられます。
例えば、点呼の未実施が19件以下の場合は改正前と同じですが、20件の場合には、改正前では初違反10日車、再違反20日車でしたが、改正後は初違反の場合、20件×1日車=20日車、再違反の場合は、20件×2日車=40日車となります。
勤務時間等基準告示の遵守違反の場合も同様で、5件までは改正前と同じですが、6件以上になると違反件数1件単位で日車数がカウントされますから、10件の場合、改正前は初違反10日車、再違反20日車でしたが、改正後は初違反で、10件×2日車=20日車、再違反の場合は、10件×4日車=40日車となります。
違反を重ねれば重ねるほど日車数は増加していくことになります。事業者の皆さまには、今後より一層の法令遵守の徹底が求められます
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記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社