国土交通省は、建設会社が社会保険の加入や長時間労働の規制を逃れるための「一人親方化」対策を検討しています。

 

一人親方化対策とは?

一人親方は従業員ではなく、事業主です。事業主であれば労働者とはならないため、今回の働き方改革関連法案といった労働法の対象外となり、長時間労働の規制、割増賃金、有給休暇等の規制を受けることはありません。また社会保険においても事業主負担のある健康保険・厚生年金保険ではなく、ご自身が国民健康保険・国民年金に加入することになるため、会社としてのコスト負担が軽減され、従来と同じ働き方にも関わらず同様の条件で働かせる「偽装一人親方」が加速すると懸念されています。そのため、国交省では「偽装請負」対策がスタートしています。

どちらの働き方ですか?

事例でみてみよう!!

【一人親方として認められたケース】
手間請け従業者である大工

●具体的な仕事を承諾するかどうかは、諸条件を交渉して決定していた。
●会社から立面図と平面図が渡されるが、具体的作業方法は、特段指示されない。
●勤務時間の定めは全くなく、出勤簿もなかった。
●他の大工に手伝ってもらうことができ、その報酬は本人が支払っていた。
●報酬は坪単価方式によって決定され、毎月工事の進行状況に応じ支払われた。


【 一人親方ではなく労働者として認められたケース】
大工業務(労務提供の契約)の場合

●就業期間中に他社の仕事をしたことはない。
●大工職人としての仕事のほか、ブロック工事など他の仕事にも従事を求められた。
●勤務時間の指定はないが、朝7:30に事務所で仕事の指示を受け、事実上17:30まで拘束され、それ以降の作業には残業手当が支給された。
●現場監督からの報告・指示によって、会社から指揮監督を受けていた。
●大工道具は本人の所有物だが、必要な資材等の調達は会社の負担であった。

ポイント!

一人親方か労働者かは、形式だけ整えればいいわけではありません。実際、どのような働きをしているか?といった実態で判断していきますので、再度、現状の働き方を確認しておきましょう。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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