常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

 

労働時間と時間外労働について

労働時間・休憩・休日

①労働時間とは?

労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」とされています。下記の時間は労働時間となるため、再度労働時間を確認し、就業規則に規定していきましょう。

【労働時間】 ・始業前・終業後の片付け ・安全装具の取り付け ・朝礼 ・手待ち時間
【労働時間ではない】 ・現場直行の移動時間 ・休憩時間

②休憩とは?

「使用者の管理下になく、自由に利用できる時間」のことをいいます。使用者から指示があった場合に即時に業務に就くことが求められるような手待ち時間は休憩とはみなされませんので、注意をしましょう。また、休憩は労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合は1時間以上となっています。分割して与えてもかまいませんので、休憩は労働時間の途中に与えてください。

③休日とは?

法律で定められた休日は、少なくとも週1回、または4週を通じて4日の休日とされています。建設業の場合、天候により業務が左右されることもあるため、就業規則には振替の規定を記載する必要があります。

【労働時間規定例】

第○条(労働時間および休憩時間)

1.所定労働時間は、1日について実働7時間30分とする。

2.所定労働時間の始業、終業の時刻および休憩時間は以下のとおりとする。
・始業時刻 午前 8時00分
・終業時刻 午後 17時00分
・休憩時間 10時~ 15分 12時~13時 60分 15時~ 15分

3.業務の状況または季節により、始業時刻、終業時刻、休憩時間を繰り上げまた繰り下げおよび変更をすることがある。

【休日規定例】

第○条(休 日)

1.休日は、次のとおりとする。
① 日曜日(法定休日)
② 国民の祝日
③ その他会社が指定する日

2.第1項の休日以外の日が、雨天・荒天により正常な施工作業の遂行が困難と会社が判断した場合、当日の午前6時までに従業員に通知の上、その日を休日とし他の日と振り替えることがある。

3.第1項の規定にかかわらず、1カ月単位の変形労働時間制もしくは1年単位の変形労働時間制の労使協定により別段の定めがされた場合は、休日は労使協定の定めるところとする。

時間外労働について

時間外労働をする場合は、使用者の指示によるべきものであり、時間外労働は残業代にも関係します。そのため、残業は使用者の指示のもとにやること、また、本人の自由意思で勝手に断ることができないないこと、ダラダラ残業阻止もしっかり規定しておきましょう。

【時間外労働規定例】

第○条(時間外、休日および深夜勤務)

1.使用者は、業務の都合で、従業員に所定労働時間外、深夜(午後10時から午前5時)および第○条に定める休日に勤務させることができる。但し、法定時間外労働および休日労働については労働基準法第36条に基づく協定の範囲内とする。

2.前項但し書きの協定の範囲において、従業員は正当な理由なく所定労働時間外および休日の勤務を拒むことができない。

3.従業員は、業務を所定労働時間内に終了することを原則とするが、仕事の進捗によりやむを得ず時間外労働・休日労働の必要があると自ら判断した場合は、事前に使用者に申し出て業務命令を受けなければならない。

4.従業員が使用者の許可なく時間外労働・休日労働に出勤するも、労働の事実の確認(黙示も含む)をすることができない場合は、当該勤務に該当する部分の通常賃金および割増賃金は支払わない。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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