常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

試用期間について

試用期間ってどんな期間?

試用期間とは、採用した従業員がこの仕事に向いているのか?能力をもっているのか?勤怠はしっかりしているのか?等、これから長く働いていけるのかを見極めるための期間です。試用期間の長さに関する定めは労基法上ありませんが、試用期間が長いことは、労働者の地位を不安定にすることからあまり好ましいこととはされず、一般的には3ケ月から6ケ月とすることが多いようです。

試用期間中なら解雇OK?

試用期間中なら、いつでも解雇できるわけではありません。一度、無期契約で雇った以上、会社側から辞めてもらうことは、解雇になります。ただ試用期間中は「解約権留保付き労働契約」といい、通常の時期よりも解雇が認められやすい時期となっています。しかしながら、解雇である以上は「客観的・合理的で社会通念上相当であるという理由」が必要になるため、就業規則においても、本採用拒否要件について明確に記載する必要があります。

第○条(試用期間)

1.新たに採用した者については採用の日から3カ月の試用期間を設ける。但し、本人との協議により、試用期間を延長することがある。

2.試用期間中の者が私傷病等の理由で欠勤し、本採用の可否を決定することが適当でないと判断された場合は、試用期間を延長することがある。

3.本採用の可否は、試用期間中の勤務態度、健康状態、発揮された能力等を総合的に勘案し、原則として試用期間満了日までに決定し通知する。

4.次の号の一に該当し、試用期間中もしく試用期間満了時に本採用することが不適当と認められた者については、本採用を拒否し、第38条の手続きに従って解雇する。但し、採用後14暦日を経過していない場合は、解雇予告手当の支払いは行なわずに解雇する。

① 遅刻、早退、欠勤が複数回あり、出勤状況が不良の場合
② 上司の指示に従わない、同僚との協調性が乏しい、誠実に勤務する姿勢が乏しい等の勤務態度が不良の場合
③ 必要な教育を施したものの使用者が求める能力に足りず、改善の見込みが薄い場合
④ 経歴を偽っていた場合
⑤ 反社会的勢力もしくはそれに準ずる団体や個人と関係があることが判明した場合
⑥ 督促しても必要書類を提出しない場合
⑦ 健康状態が思わしくなく、今後の業務に耐えられないと認められる場合
⑧ 使用者の事業に従業員として採用することがふさわしくないと認められる場合
⑨ 第32条2)の諭旨退職、懲戒解雇もしくは第42条の普通解雇に該当する場合
⑩ その他、前各号に準ずる場合

5.試用期間は勤続年数に通算する。

有期労働契約の活用

実務上は有期労働契約の活用もおすすめです。試用期間といえ、無期契約である以上会社とあわなかったり能力が足りなかったりといった理由で簡単に解雇はできません。ただし、有期契約であれば、6ケ月や1年といった契約を結ぶため、その一定期間で、今後の仕事の継続が難しい場合は、更新をせず、期間満了で契約を終了することもできます。
ただ、求人の際には契約社員と正社員求人ではやはり正社員求人に人は集まりやすいため、契約社員は不利な面もありますが、解雇のリスクを考えたときには有期契約の活用も検討してみてもいいかもしれません。

契約更新の有無

□自動的に更新する
☑更新する場合がある
□更新しない

契約の更新の判断基準

・契約期間満了時の業務量
・従事している業務の進捗状況
・有期契約従業員の能力、業務成績、勤務態度
・会社の経営状況
・その他( )

退職に関する事項

・契約更新の有無は、期間満了の1ケ月前までに通知する
・やむを得ない事情で、期間途中で退職する場合は30日前までに会社へ届け出ること
・やむを得ない事情で、解雇する場合は就業規則に準じて手続きを行う

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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