常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

災害補償について

災害補償とは?

仕事中の負傷や疾病の場合、労働基準法により一定の割合の補償が決まっています。実際、労災事故が起きた場合は、就業規則の規定の金額を会社から直接支払うのではなく、労働者災害補償保険法(労災保険)から支払われます。ただし、労災事故により休業をした場合は、最初の3日間は労災保険の休業補償の対象外となりますので、会社は労働基準法の規定に基づき、平均賃金の60%以上の休業補償を支払う必要があります。

災害補償

第○条(災害補償)

1.従業員が業務上負傷し、または疾病にかかったときは、労働基準法の規定に従って次の各号の補償を行う。

① 療養補償 /必要な療養の費用
② 障害補償 /障害の程度で決定額
③ 休業補償/平均賃金の60%
④ 遺族補償 /平均賃金の1000日分
⑤ 葬祭料 /平均賃金の60日分
⑥ 打切補償/平均賃金の1200日分

2.補償を受けるべき者が同一の事由について労働者災害補償保険法によって前項の災害補償に相当する保険給付(打切補償については傷病補償年金の支給)を受ける場合においては、その給付の限度において前項の規定を適用しない。

3.業務上の災害による休業は、治癒するまで公傷休業として取り扱う。

4.遺族補償および葬祭料は、労働基準法施行規則に定める順位によって補償する。

5.従業員が業務外の傷病に罹った場合は、健康保険法により扶助を受けるものとする。

労災って?

①労災認定には、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つを満たすことが必要です。

◆業務遂行性・・・仕事中の事故かどうか
◆業務起因性・・・業務と傷病等の間に一定の因果関係があるかどうか例えば、仕事中に突然倒れたとしても、それが持病が原因であれば業務起因性は認められず、労災の対象にはなりません。

②労災保険には業務災害と通勤災害の2つがあります。

◆業務災害・・・就業中に業務が原因となった負傷、疾病または死亡等のこと
◆通勤災害・・・通勤によって労働者が被った傷病等のこと

労災保険給付

保険給付の種類保険給付の内容
療養(補償)等給付必要な療養の費用の支給
休業(補償)等給付療養のため労働することができず、賃金を受けられないときに支給
障害(補償)等給付傷病が治癒した後、障害が残ったときに支給
遺族(補償)等給付業務災害、複数業務要因災害または通勤災害により死亡したときに支給
葬祭料等(葬祭給付)業務災害、通勤災害により死亡した人の葬祭を行うときに支給
傷病(補償)等年金傷病が治癒したが、障害の程度に該当していない場合に支給
介護(補償)等給付介護が必要な場合に支給二次健康診断等給付 定期健康診断等の結果で二次健康診断が必要なときに支給

ポイント!

建設業の場合、工事現場での労働者の事故については、事業所ごとの労災ではなく元請の労災保険を使います。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

こちらの記事もおすすめです