常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

退職について

退職の種類

会社を退職する場合は大きく3つのケースが考えられます。

①自己都合退職(自分で退職を決定すること)
②解雇(会社から退職を促すこと)
③定年、契約期間満了

一般退職は労働者からの理由で労働契約を終了することをいいます。今回は一般退職の注意事項について説明をします。

自己都合による退職手続き 規定例

第○条(一般退職)

1.従業員が次の各号の一に該当する場合には、各号に記した日をもって退職とする。

① 死亡したとき(死亡した日)
② 自己の都合により退職を申し出、使用者との合意があったとき(合意した退職日)
③ 自己の都合により退職を申し出たが、使用者の合意がないとき(民法627条による日)
④ 休職期間満了日までに休職理由が消滅しないとき(休職期間満了日)
⑤ 届なく欠勤し、居所不明等で使用者が本人と連絡をとることができない場合で、欠勤開始日以後14暦日を経過したとき
⑥ 労働者性を有しない取締役等に就任したとき(取締役等の就任日)

2.前項②号、③号において、従業員が自己の都合により退職しようとするときは、1カ月前までに所定の様式により使用者へ退職の申し出をしなけれ ばならない。

第○条(自己都合による退職手続)

1.従業員が自己の都合により退職しようとするときは、原則として退職予定日の1か月前までに、遅くとも2週間前までに、会社に申し出なければならない。退職の申出は、やむを得ない事情がある場合を除き、退職届を提出することにより行わなければならない。

2.退職の申出が、所属長により受理されたときは、会社がその意思を承認したものとみなす。この場合において、原則として、従業員はこれを撤回することはできない。

3.退職を申し出た者は、退職日までの間に必要な業務の引継ぎを完了しなければならず、退職日からさかのぼる2週間は現実に就労しなければならない。これに反して引継ぎを完了せず、業務に支障をきたした場合は、懲戒処分を行うことができる。

4.業務の引継ぎは、関係書類を始め保管中の金品等及び取引先の紹介その他担当職務に関わる一切の事柄につき確認のうえ、確実に引継ぎ者に説明し、あるいは引き渡す方法で行わなければならない。

退職時のルール

突然の退職は、業務の引継ぎ、従業員の補充等会社にとっては大変なことですが、本人が「辞める」という意思表示をしてきた以上、法律的に拘束することはできません。そのため退職のルールをしっかりと決めておくことが必要です。

①退職の申し出の期限を決める
民法上では2週間前の退職の申し出でも構わないことになっていますが、現実的には2週間での引継ぎや次の採用は困難です。そのため、社内で周知しておくことが大切 です。一般的には1ケ月にしているケースが多いです。

②退職の引継ぎ
退職が決まると、「退職日までの1ケ月を有給休暇使わせてください」という労働者の方が増えています。有給休暇は労働者の権利ですから、取得して頂くのは問題ありませんが、有給休暇取得の前に業務の引継ぎを行うことも記載しておくことが望ましいです。

③退職届
本人から退職の申し出は必ず書面でもらいましょう。口頭だけでもあっても、退職の意思表示にはなりますが、のちのちのトラブルをさけるためにも、書面で退職届をだしてもらうか、それが出来ない 場合は会社から「退職承諾書」を本人に交付し、退職日を確認しましょう。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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