常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

 

懲戒について

懲戒とは?

懲戒とは、職場のルールを守らない場合に社員に指導をするための罰です。ただ、一言で「懲戒」といってもその程度により罰則の種類も異なってきます。そして、懲戒とは就業規則に定められた事由にしか行うことができないため、しっかりと明文化しておく必要があります。経営者の方は「常識的にこれはおかしいだろう」と思っても、それが明文化されていなければ、懲罰というのは下すことができないのです。職場で「懲戒」はないことがベストですが、社員間の公平性を保つためにも、会社として許されない行為があった場合は、懲戒が適用できるように対応をしておきましょう。

懲戒規定例

第○条(懲戒の種類、程度)

懲戒の種類は次の各号のとおりとする。

① 訓 戒 :文書によって厳重注意をし、将来を戒める。
② 譴 責 :始末書を提出させ、将来を戒める。
③ 減 給 :1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1以内で減給する。但し、懲戒の事案が複数ある場合は、複数月にわたって減給を行うことがある。
④ 出勤停止:14暦日以内の出勤停止を命じ、その期間の賃金は支払わない。
⑤ 降 格 :資格等級等の引き下げをする。この場合、労働条件の変更を伴うことがある。
⑥ 諭旨退職:合意退職に応ずるよう勧告する。但し、勧告した日から3労働日以内に合意に達しない場合は懲戒解雇とする。
⑦ 懲戒解雇:解雇予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合、所轄労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けたときは予告手当を支給しない。

懲戒の種類

①訓戒 厳重注意
②譴責 始末書
③減給 ペナルティとして給与を減額 ※ただし、法律で制限があります(減給の制裁)
④出勤停止 一定期間出勤を停止し、給与を支払わない
⑤降格 役職の解任等で職場内の地位をさげる
⑥諭旨退職 懲戒に該当するが、本人が反省をしているのであれば、自ら退職届をだすように促す
⑦懲戒解雇 懲戒処分で1番重い処分

減給の制裁とは?

労働基準法には、減給の制裁という項目があり、ペナルティで給与を減額する場合は、ペナルティ1回の額が平均賃金の1日分の半額まで、1賃金支払い期間に複数回あった場合でも、その賃金支払い期間の総額の10分の1までと決まっています。

期間月分日数金額
3月1日~3月31日3月分31日260,000円
4月1日~4月30日4月分30日260,000円
5月1日~5月31日5月分31日260,000円
合計92日780,000円

例)5月に3回の遅刻、就業規則(遅刻3回で1回のペナルティーと規定)に基づき、平均賃金の1日分の半額の減給制裁をしたい。

・賃金締切日:月末 賃金支払日:毎月10日
・平均賃金 780,000円÷92日=8478円2608 (銭未満切り捨て)8478円26銭

実際の減給 賃金支払い日の6月10日に平均賃金の半額
8478.26÷2=4,239.13円 減額できる上限額:4,239円

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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