◆今年は発熱や長引く咳といった症状が特徴の「マイコプラズマ肺炎」の患者が急増していて、大流行した8年前、2016年以来の水準となっています。秋から冬にかけて流行する疾患であるため、これから更に拡大することが懸念されています。大人よりも子どもが感染しやすく、特に6~12歳の子どもによく見られます。
◆マイコプラズマ肺炎とは?
病原体は「マイコプラズマ・ニューモ二エ」という細菌です。
かかりやすい年齢は幼児期、学童期、青年期が中心で、7~8歳の子どもが最も多くなっています。
マイコプラズマは熱に弱く、界面活性剤でも失活します。
◆感染経路
咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる病原体による飛沫(ひまつ)感染と、病原体が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。集団生活の中などでの短時間での接触での感染拡大は高くはなく、家族や親しい友人間などの濃厚接触にて感染するものが多いとされています。
◆症状
潜伏期間は2~3週間と比較的長く、発熱と全身倦怠感(全身のだるさ)、頭痛などの症状から始まり、3~5日後に乾いた咳が出始めます。咳は経過に伴って徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3~4週間)こともあります。鼻炎やのどの痛み、腹痛などの症状が現れることもあります。ほとんどが軽く済みますが、まれに重症化したり、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎といった合併症を引き起こすこともあります。
◆治療
抗菌薬による治療が基本ですが、軽症の場合は抗菌薬を使用しないで経過をみる場合もあります。
◆予防
手洗い、咳エチケットなど基本的な感染対策が有効です。普段から石けん(界面活性剤入り)での手洗いを意識的に行い、家族内での食器やタオルの共有は控えるようにします。
また咳からの感染もあるので、会話をする際にはお互いにマスクを着用すると安心です。
◆ホームケア
発熱している時は脱水予防(経口補水液などを常温で飲ませます)に留意します。
咳が酷い時には、濡れタオルや加湿器を使用して室内を加湿するようにします。咳で夜眠れないときはクッションやふとんなどでを使って少し上体を起こしてあげましょう。