この4月に年中さんになったばかりのA君。毎日通っている保育園では、新しいお部屋に変わり、どこに何があるのか興味津々です。部屋の隅々まで動き回っておもちゃを探したり、狭い所に隠れたり、ベランダに出てみたり、保育士さんが少し目を離すと見つからないこともしばしば。
 ある日、お昼ご飯の後、先生が他のお友達のトイレ介助をしている間に、A君がどこかに行ってしまいました。「またどこかに隠れてるのかな?」と探してみますがどこにもいません。すると園庭から泣き声が聞こえ、園庭を見るとA君がうづくまって泣いていました。A君はベランダにあった室外機を上って柵をよじ登り、転落してしまったのです。結果、A君は額を怪我し、数針縫うことになりました。

夏に入る前に増える!?子どもの転落事故

子どもがマンションのベランダから転落して死亡するニュースを最近耳にします。夏前の気温が上がるこの季節は、部屋の窓を開ける機会が増え、ふと目を離したすきに子どもがベランダに出てしまいます。またこの数年は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、部屋の換気のために窓を開ける園も増えているのではないでしょうか。 対策として、ベランダや窓の近くに物を置かないなどが推奨されますが、実際にどの程度の「たかさ」であれば子どもはよじ登れないのでしょうか?

意外と知られていない?子どもの身体能力

幼児期の子どもは成長とともに体の大きさ、身体能力が日々変化していく時期です。大人が思っている以上に、狭い場所をすり抜けられたり、高い場所をよじ登ることができます。
 それでは、どのくらいの身体能力なのか、具体的な数値で見てみましょう。

A君が登ったと思われる室外機は、一般的には高さ60㎝~70㎝です。柵の近くに置かれていた場合は、よじ登ってベランダの柵を乗り越えられてしまう可能性があります。
 また、狭い所をすり抜けようとしたり、低い所をくぐり抜けようとして挟まったまま怪我をしてしまったり、子どもの手の届かないところに置いたつもりが、手を伸ばして危険物に届いてしまうこともあります。
 園では、子どもの椅子や机、トイレ、洗面台などは子どもの身長に合わせて「使いやすい」ように作られています。しかし、毎日過ごす生活空間では、「安全に過ごす」視点を忘れず、大人の目が届かなくとも、安心して過ごすことができる環境設定を行いましょう。

大きな事故を未然に防ぐため、「安全に過ごす」視点を忘れずに!子どもの周りの「たかさ」や「すきま」をチェックしてみましょう。

執筆者情報

株式会社東京リハビリテーションサービス
作業療法士・公認心理師  竹中 佐江子

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