2025年1月17日に、自動車運送業分野特定技能協議会の加入受付が開始されました。これは、「特定技能制度」(特定技能外国人受け入れに関する制度)に関するもので、特定技能外国人を受け入れるためには、自動車運送業分野特定技能協議会への加入が義務付けられています。そこで今回は、「特定技能制度」の概要についてご紹介します

特定技能制度とは

特定技能制度とは、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性や技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れることができる制度です。この制度は、2019年4月に設けられ、2024年3月に自動車運送業(トラック、バス、タクシー)も特定技能制度の対象分野に追加されました。

特定技能外国人受け入れの要件

企業が特定技能外国人を受け入れるにあたっては、全分野共通要件として、「労働、社会保険、租税に関する法令を遵守すること」など、いくつかの必要条件や欠格事由が設けられていますが、トラック運送については、それに加えて次の要件が付け加えられています。
1.道路運送法に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営するものであること。
2.下記のいずれかに該当すること。
 ①「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」に基づく認証を受けていること。
  ※「働きやすい職場認証」とは、国土交通省指定認証実施団体「一般財団法人日本海事協会」が認定するもので、職場環境改善に向けたトラック、バス、タクシー事業者の取組みを「見える化」することで、求職者の運転者への就職を促進し、各事業者の人材確保の取組みを後押しすることを目的としたものです。
 ②公益社団法人全日本トラック協会による「貨物自動車運送事業安全性評価制度(Gマーク制度)」に基づく認定を受けた安全性優良事業所を有していること。
  ※Gマークの取得は、事業所単位の取得となりますが、同一の法人内であれば、外国人を受け入れる事業所以外で保有している場合も可。
3.自動車運送業分野特定技能協議会(特定技能制度の適切な運用を図るために設置されている機関)の構成員となること。
 ※冒頭に記しましたように、当該協議会への加入受付が、2025年1月17日に開始されています。

外国人に関する要件

自動車運送業分野で受け入れる外国人には、特定技能1号(相当程度の知識又は経験を必要とする技能)の在留資格が必要です。特定技能1号の在留資格を得るために、トラックの場合は、次のことが必要となります。
〇日本語能力を証明する試験の合格
〇自動車運送業分野特定技能1号評価試験の合格
 ※特定技能評価試験を受けるためには、外国で取得した自動車運転免許(試験実施日において有効なものに限る。)を保有しておく必要があります。
 ※自動車運送業分野特定技能1号評価試験は、2024年12月4日より開始されています。
〇日本の自動車運転免許の取得
なお、特定技能1号の在留期間は、通算5年が上限となっています。

※「特定技能制度」の詳細については、国土交通省ホームページの「自動車運送業分野における特定技能外国人の受け入れについて」、公益社団法人全日本トラック協会のホームページに掲示してある「自動車運送業分野トラック区分における特定技能外国人受け入れの手引」等をご覧ください。

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記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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