過労死等は、大きな社会問題の一つとなっており、厚生労働省では、毎年、過労死等の「業務上疾病」と認定され、労災保険給付が決定した支給決定件数を業種別に公表しています。そこで今回は、令和5年の過労死等による業種別の支給決定件数(厚生労働省より令和6年7月訂正版公表)をご紹介します。

過労死等とは

過労死等とは、過労死等防止対策推進法第2条により、次のように定義づけられています。
・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

令和5年度の脳・心臓疾患の労災支給決定(認定)

件数では道路貨物運送業が最も多い
厚生労働省では、「令和5年度の脳・心臓疾患の労災支給決定(認定)件数の多い業種(中分類の上位15業種)」を公表しており、そのうち件数の多い上位5業種を示したものが図1です。「道路貨物運送業」は66件で最も多く、次に多い「飲食店」18軒の3倍を超えています。全件数は216件ですので、全体数の3割を占めています。

令和5年度の精神障害の労災支給決定(認定)

件数では道路貨物運送業が4番目に多い
令和5年度の精神障害の労災支給決定(認定)件数は883件で、件数の多い上位5業種を示したものが図2です。最も多いのは「社会保険、社会福祉、介護事業」の112件、次いで「医療業」105件、「総合工事業」57件、「道路貨物運送業」56件となっており、道路貨物運送業は4番目に多くなっています。

●過重労働防止対策について
厚生労働省の調査によると、事業場による主な取り組みは次のとおりです。皆様の事業場においても、積極的に取り組んでいきましょう。
 ・タイムカード、ICカード等による客観的な方法による労働時間の管理
 ・病気や通院等に配慮した就業上の措置等の実施
 ・休暇が取りやすい職場環境の運営
 ・労働者間の業務分担の見直しや集約等の推進
 ・人員の増員
 ・ストレスチェックの実施
 ・メンタルヘルスサポートの充実
 ・ハラスメント防止のための周知・啓発

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

こちらの記事もおすすめです