常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

健康診断について

健康診断の種類

労働安全衛生法により「事業者は、労働者に対し厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければ
ならない」と規定されています。
 
①一般健康診断
1-1 雇い入れ時健康診断・・・入社時に実施
1-2 定期健康診断・・・原則年1回。例外年2回。深夜業に従事する者で、6ケ月を平均したときに、1ケ月あたり4回以上深夜業に従事したもの
 
②特殊健康診断
粉じんや有期溶剤を取り扱う等の有害業務従事者

健康診断等

第○条(健康診断等)
 
1.従業員には毎年1回以上の健康診断を行う。法に定められた者は6カ月に1回実施する。
 
2.従業員はこの健康診断の受診および結果を使用者へ通知することを拒否することができない。
 
3.健康診断結果の情報は安全配慮義務を果たす関係上、使用者が一括して管理を行う。よって、従業員個人に健康診断結果が
通知された場合でも、従業員はその結果を使用者へ提出する義務を負う。
 
4.従業員は、健康診断の結果に異常の所見がある場合には、使用者の指定する医師による再検査を受診しなければならない。
 
5.従業員が、正当な理由なく前項の再検査を受診しない場合、使用者は当該従業員に対し、就業禁止の措置をとる場合がある。
 
6.健康診断の結果、特に必要のある場合は就業を一定の期間禁止し、または職場を配置替えすることがある。
 
7.使用者は、第1項の定期健康診断および第4項の再検査以外にも、従業員に対し、健康診断の受診ないし使用者の指定する医師への検診を命じることがある。

義務

会社 <健康診断実施義務> 結果を5年間保管 費用負担
従業員 <健康診断受診義務> 会社が実施する健康診断を受診しない場合は、その結果を会社に通知

対象者

常勤でフルタイムだけの者でなく、1年以上継勤務をしていて、1週間の所定労働時間が通常の労働者の3/4以上の者も対象になります。
 
(例)会社の1週間の所定労働時間が40時間の会社であれば1週間で30時間勤務する人も対象になります。

健康診断は業務命令

会社と従業員は、労務の提供をし、それに対して賃金を支払うという雇用契約を結びます。この周りにはいくつかの権利と義務があり、使用者は「安全配慮義務」を担うことになります。
会社は労働者に働いてもらう以上、安全や健康を脅かす状態であればそれを取り除く義務があります。健康診断の結果がよくなかったりすると、会社へ診断書をださなかったり、再検査となっていても再検査を受けない人がいます。会社はこのような状況の人を放置してはいけません。万が一、そのような健康状態がよくない従業員を会社が働かせ続けていて、その方がケガや病気にでもなれば、使用者として安全配慮義務を問われることになります。
「本人が行きたくないから」は理由になりません。何かがあれば会社が責任を問われますので、要注意です。

使用者の義務

健康診断の結果により作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置をとらなくてはいけません。
 

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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