PR戦略の企画・立案にあたっては、そもそも「ターゲットとなるお客様層に自社の社名や特長を伝える」ことがとても重要です。ですから、お客様の目に届く場所で自社PRを行わなければ、意味がありません。この業界ニュースでは、たびたびWEB集客の重要性についてお伝えしていますが、特に一次取得層(20代・30代)へのPRの戦略においては、やはりWEBは最も注力すべきポイントと考えられます。最新のデータをもとに、若年層へのPR戦略について考えてみましょう。

1.若年層の新聞離れ・テレビ離れは本当か?

総務省が発表した「令和元年版情報通信白書」に、「主なメディアの平均利用時間と行為者率」というデータがあります。テレビ・新聞・インターネットなどの各種メディアを、日本人の何%が、1日平均何分利用しているかを、世代別で示したデータです。近年、「若者は新聞を読まない」とよく言われますが、このデータを見ると、やはり若者の新聞離れは顕著です。

平日に新聞を読んでいる人の割合(行為者率)
 20代:2014年12.0%→2018年5.3%   30代:2014年21.9%→2018年13.0%


50代の43.9%・60代の52.8%と、その差は歴然としています。さらに、このデータは「自宅に新聞を配達してもらっていないが、他の方法で新聞を読んでいる人」も含まれます。住宅業界で重用されている折り込みチラシの到達率は、上記のパーセンテージよりさらに低いということになります。もちろん、折り込みチラシや新聞広告が有効な地域やシチュエーションは存在しますが、冒頭に申し上げた「お客さまの目に届く場所で自社PRを行う」という点で考えると、一次取得層のPRにおいて、新聞の立ち位置は微妙になりつつあります。新聞離れと並んで最近耳にするのが「若者のテレビ離れ」です。こちらも、総務省のデータを見てみましょう。

 ・平日にテレビをリアルタイムで見ている人の割合(行為者率)
 20代:2014年72.4%→2018年67.5%   30代:2014年86.7%→2018年74.1%

平日、リアルタイムでのテレビ平均視聴時間
 20代:2014年118.9分→2018年105.9分  30代:2014年151.6分→2018年124.4分


この5年間で見ても、テレビの利用者は減少しており、20代の3人に1人、30代の4人に1人は、そもそもテレビを見ていないことになります。視聴時間も減少傾向にあり、60代(248.7分)の半分まで落ち込んでいます。新聞ほどではないものの、若年層のテレビ離れは徐々に進行しているようです。さらに、10代になると利用率63.1%・視聴時間71.8分(ともに2018年)と、テレビ離れはさらに顕著です。テレビCMなどによる自社PRも、中長期的には効果が薄らいでしまうかもしれません。

2.ネットは「利用時間」が大幅増、今後はネット上での「認知獲得」が重要に

一方、インターネットの利用状況はどうでしょうか。20代・30代では、ここ数年の利用率は90%前後で推移しています。また、ネットの利用時間は、20代はほぼ横ばいですが、30代は増加傾向にあります。

平日のインターネット平均利用時間
 20代:2014年151.3分→2018年149.8分 30代:2014年87.6分→2018年110.7分


ネットの普及率はすでに高止まりしていますが、2013年頃からのスマートフォン普及に伴って、利用時間の伸びが顕著になりつつあります。これまでお話しした新聞離れ・テレビ離れも、新聞はネットニュースやデジタル版(日経電子版など)へ、テレビはYouTubeや動画配信サービス(Amazon・Netflixなど)へ、それぞれ置き換えが進んだ結果と言えるでしょう。

「お客様の目に届く場所での自社PR」という点で考えれば、WEB上でのアピールがますます重要になることは言うまでもありません。特に今後は、チラシやテレビCMが担っている「自社の認知獲得」を、いかにWEBで行うかが重要になるでしょう。「ニュースサイトに記事風の広告やバナー広告を掲載する」「YouTube動画に自社CMを挿入する」といった取り組みは、比較的低コストでもスタート可能です。まだ取り組んでいない会社も、「20代・30代のお客様に、いかに自社を知っていただくか」ということを考えると、いつまでも敬遠してはいられないはずです。

執筆者情報

資料作成:株式会社 住宅産業研究所

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