◆入園直後の給食時間に、乳アレルギーを持つAくん(3歳児)の食器に食材が混入し、あやうく誤食するところでした。 当日の献立はクリームシチューです。乳アレルギーのAくんには、ホワイトソースを豆乳ベースでつくった献立が提供され、配膳時にはアレルギー対策ができていました。 混入の原因は、嫌いな食材をほかの子の皿に入れる癖のあるBくんで、ホワイトソースのついたニンジンがAくんのお皿に入ってしまったのです。 ほんの一瞬のできごとでしたが、幸いその現場を偶然見ていた保育士がいて、事なきをえました。 こうした場合、どのような対策を講じたらよいでしょうか。

◆同様な事例は対策などをしていても3割の園で発生

東京慈恵会医科大学が平成27年に、保育所を対象におこなった調査※によると、誤食対策をしていても3割近くの施設で誤食・誤配があり、実際に症状が出たケースもありました。 原因として、今回のような「他の園児・児童に配膳された食物を食べてしまった」という回答が16.9%もありました。

◆いままでは大丈夫だったのに…入園直後はヒヤリハットが起きやすい

「うちではこんなことは起きない」と感じる先生方も多いことでしょう。 しかし、お預かりしている園児や受け持つスタッフもずっと同じとは限りません。 入園直後など入れ替わりが発生する時期には、安全で楽しい給食のために、情報の共有及び見守りの大切さを再度確認してみましょう。

【誤食・誤配対応を改めて確認してみましょう】
□ 給食を食べる時の座席状況(アレルギー児の席を離す)
□ 給食の配膳の状況(食札やトレーを色分けをする)
□ 給食の片付け方、床の食べこぼしの対策
□ 同クラスの園児にアレルギーについて話をする

とくに、最後の園児への声かけは重要です。 3歳児ともなれば、給食時のお約束として楽しく食べるために必要なことは、年度はじめにしっかりお話する必要があります。

◆楽しく食べる食育よりも安全に食べることを優先する

保育所の給食は「共食の場」として、とても大事な役割を持っています。 おしゃべりをしながら食べる環境は、愛着形成の場としても大切です。 しかしながら、その安心の場が脅かされることになりかねない誤配・誤食から子どもたちを守ることが最も大事です。
なぜ席を離れて食べる必要があるのか、食物アレルギーがあるお友達がもし食べたらどういうことになるのか、お友達の器に移さないことが大事な理由、こぼしたときはどうするかなど、子どもたちにどのように話をしたらよいか、園でもスタッフ全員で話し方を含め、情報共有しておくことが何よりのヒヤリハット防止になるのではないでしょうか。

※保育所入所児童のアレルギー疾患罹患状況と 保育所におけるアレルギー対策に関する実態調査 調査報告書
 (厚生労働省 平成27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業補助型調査研究)

  https://www.jikei.ac.jp/univ/pdf/report.pdf

ヒヤリハットが起きやすい入園直後は、安全で楽しい給食のために
いま一度、子どもたちの見守りの大切さをスタッフ間で共有しましょう

執筆:あいおいニッセイ同和損保
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