◆ことばに関する相談の中で特に多いのが「子どもが気持ちをうまく表現できず、怒ってしまったり黙ってしまったりして困っている」「子どもが思いをことばにするために、大人はどうしてあげたらよいか?」というものです。こういった相談は、親御さんのみならず、先生方からも大変多くいただきます。今回は、“子どもが自分の思いをことばにする”ために、どんな準備が必要なのか整理してみようと思います

◆気持ちをことばで表すということ

「自分の思いをことばにする」ことは、おとなでもとても難しく繊細なスキルです。
気持ちをことばで表すには、思いや感じていることをしっかり認識し、それを表現する適切な「ことば」を持っており、適切に選択できる力や聞き手の理解度に合わせてわかりやすいよう表現のしかたを変えられる力が必要になります。

◆「ことば」を獲得するために必要な準備

*運動:「使いやすい」「疲れにくい」からだ
*感覚:光や音、そのほかの周辺情報を感じ取ることができる力
*心 :話したいと思う気持ちやきっかけ、話せると思える安心感

思い通りに動かせるからだ、自身の周辺の情報をキャッチし正確に捉えることができる力、健やかな心が三位一体となって絡み合い、それぞれが大まかで粗大なものから徐々に繊細で緻密な表現に発達していきます。

◆ゆたかな「ことば」「心」を育てていくために周囲の大人ができること

①ことばを教えるよりも健やかな土壌と「きっかけ」になる種を

健康な心と身体は、まなびの最も重要な土台となります。
子どもが安心してのびのびと過ごせる保育環境を整えてあげることがゆたかな発達の素地となります。
興味のないことばを並べて教えていくよりも、健やかな土壌を育み、子どもたちそれぞれの“好きな”“おもしろい”感覚をヒントに、「きっかけ(意欲)」の種を撒くことが子どもたちのスキルアップにつながります。

②苦手なところに注目しすぎるよりも「得意」をきっかけに苦手を支えながら開花を待つ

子どもの苦手を把握することは、子どもに過度な負担を与えたり不安にさせたりして自信を奪わないために大切なことです。
しかし、苦手を指摘されることは、子どもの不安にもつながります。
子どもの成長には、「何が得意か」「なにが出来るか」を知り、それを応援することが一番の栄養になり、ゆたかな心の育成にも繋がります。

CHECK
コミュニケーションは、聞き手のサポートで如何様にも成立するものです。子どもが「話せない」「ことばで表せない」ときには、大人が「どうしたら聞きとってあげられるか」を考え、子どもの得意なことをきっかけに自信を伸ばせる環境を考えてあげてみてください。

どのような素材が良いかは子どもによって異なるため、どの素材が心地よく過ごせるか本人に聞いてみたり、親御さんに伝え、一緒に対処方法を考えてみても良いでしょう。感覚過敏かどうかは、日常生活から子どもの様子を観察することが一番ではありますが、普段の生活で分からない場合は、感じ方を定量的にみる評価ツール(SensoryProfileなど)もあるため、専門家への相談もお勧めします。

成長の仕方もバランスも、みんなバラバラで当たり前。
違いを面白がれるゆとりが子どもたちを豊かに育てる。

執筆者情報

株式会社東京リハビリテーションサービス
堀川 由樹子 (言語聴覚士)

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