高齢ドライバーの交通事故

作成:特定非営利活動法人 高齢者安全運転支援研究会 事務局長 平塚 雅之

1.年齢層別の免許人口10万人あたりの死亡事故件数で見てみると…

※「高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議」の第7回公開データより
85歳以上は、15.1件と目立ちますが、2番目に多いのは16歳から19歳の若者です。
80歳から84歳の高齢者より多いのです。若者は「運転未熟」が原因のようです。

2.死亡事故の類型比較を見てみると…

75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故は、75歳未満の運転者と比較して、車両単独による事故が多く、具体的には、工作物衝突や路外逸脱が多いのです。
75歳未満は人身事故が目立ちます。それも横断中です。

3.75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故の人的要因別件数比較を見てみると…

75歳以上の高齢ドライバーは、操作不適による事故が最も多いです。
そのうち、ブレーキとアクセルによる踏み間違い事故は、75歳未満が全体の1.1%に過ぎないのに対し、5.4%と高くなっています。

最後に

さぁ、皆さんは、この数字を見てどうお考えでしょう?高齢ドライバーは、本当に「危ない」のでしょうか?
超高齢者社会で、高齢ドライバーが多数を占めている現状で、比率から見れば、確かに高齢ドライバーの事故は多くなっています。
でも、ご記憶に新しい「池袋の事故」のような悲惨な事故は、高齢ドライバーの代表的な事故でしょうか?
加齢による身体機能の衰え、病気による認知機能の衰え、目の病気など、高齢ドライバーは、個人差があっても、若い頃に比べれば、性能は悪くなります。
でも、車両単独事故が多く、人身事故は少ないのです。
だからといって、慢心や油断はいけません。
でも、なんでもかんでも、高齢者が「危険、危ない」存在ではないということを知ってください。
今まで安全運転で、家族を支えてくれたご両親。今はおじちゃん、おばあさんとなっても、感謝の念を持って、その上で、これからも「安全運転を続けてね」とお願いしてみてください。
かわいい、お孫さんや、親となった子供から、そういう優しい言葉をかけられたら、張り切って安全運転をしてくれるに違いありません。

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