令和2年度の国土交通省による「貨物自動車運送事業の行政処分等の概要」(※現時点で公表されている最新の情報)をみると、行政処分等の件数は184件で、処分内容としては「車両使用停止」が151件で最も多くなっています。行政処分等に係る違反事項では、「許認可等関係」では、「事業計画認可事項」が98件で最も多く、「輸送の安全確保関係」では「指導監督」が368件で最も多くなっています。そこで今回は、行政処分に至った違反事項等をご紹介します。

行政処分等の内訳

令和2年度における貨物自動車運送事業の行政処分等は、監査実施件数が396件で、行政処分等の件数は184件でした。
行政処分等の件数の内訳をみると、「許可の取消」が1件、「事業停止」が13件、「車両使用停止」が151件、「文書警告」が19件で(図1)、「車両使用停止」が全体の8割を超えており、車両の延使用停止日車数は、14,242となっています。また、「過積載通報処分」(公安委員会からの通報に基づき処分したものをいいます)については、13件となっています。

行政処分等に係る違反事項

行政処分等に係る違反事項については、①許認可(事業計画)等関係②輸送の安全確保関係があります。

①許認可(事業計画)等関係

許認可等に係る違反事項については、総数236件で、その内訳をみると、「事業計画認可事項」が98件(41.5%)で最も多く、次いで「報告義務」が69件(29.2%) 、「事業計画届出事項」が45件(19.1%)、「表示・掲示等」が10件(4.2%)、「事業の健全な発達を阻害する競争(社会保険等未加入)」が9件(3.8%)、「名義貸し」が5件(2.1%)となっています。

②輸送の安全確保

関係輸送の安全確保関係の違反事項については、総数1,396件で、その内訳をみると、「指導監督」が368件(26.4%)で最も多くなっています。 次いで、「点呼」が320件(22.9%)、「過労防止等」が190件(13.6%)、「定期点検」が123件(8.8%)、「乗務記録」が109件(7.8%)。「運行記録計による記録」が107件(7.7%)、「運行管理」が82件(5.9%)、「整備関係」が46件(3.3%)となっています(図2)。

※許認可関係及び輸送の安全確保関係のいずれについても、複数の違反事項がある事業者は、すべての事項に計上されています。

運行管理や法令順守状況につき、定期的な見直し・専門機関によるコンサルティングなどを定期的に受けることをお勧めします。

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記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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