常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

解雇について

解雇とは?

従業員側に非があったとしても、会社から「辞めてくれ」ということは解雇です。また解雇には3つの種類があります。

①普通解雇:従業員側に、精神または身体の障害、勤務成績不良、能力不足等を理由にやめてもらうこと
②整理解雇:経営上の理由により、事業縮小、事業の打ち切りのための人員整理のためにやめてもらうこと
③懲戒解雇:従業員が服務規律に違反したり、会社の秩序を乱したなど懲戒解雇事由にあてはまる行為をしたときにやめてもらうこと

普通解雇規定例

今回は、「普通解雇」についてご案内します。

第○条(普通解雇)

1.従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

① 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。
② 勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。
③ 業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病が治らない場合であって、従業員が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む)。
④ 身体、精神の障害、その他法令で保護されない私的な事情等により、本来遂行すべき業務への完全な労務提供ができず、または業務遂行に耐えられない、と使用者が認めたとき
⑤ 規律性、協調性、責任性を欠くため他の従業員の業務遂行に悪影響を及ぼす、と使用者が認めたとき
⑥ その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき

2.解雇するときは30暦日前に予告する。予告しないときは平均賃金の30日分を支給して即時解雇する。但し、所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは、予告手当を支給しない。なお、予告日数は平均賃金を支払った日数だけ短縮する。

3.第1項で定める事由により解雇されるにあたり、当該従業員より退職理由証明書の請求があった場合は、使用者は解雇の理由を記載した解雇理由証明書を交付する。

懲戒の種類

【解雇するには】
現在の労働基準法において、労働者を解雇するには「客観的にみて合理的な理由が必要」とされ、社会通念上相当だと認められない解雇は無効とされます。未だ日本の労働法において解雇は難しく、そのためにも解雇をする事由として、より具体的に就業規則に記載しておくことが重要です。よく言われるのは「あいつは覚えが悪くて仕事ができない」という理由だけでは解雇はできませんので注意が必要です。

【解雇予告手当】
従業員を解雇しようとするときは、解雇しようとする日の30日以上前に予告をしなくてはいけません。この予告が出来ない時は、解雇予告手当といって、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはいけません。

【普通解雇の注意点】
解雇に関する労使トラブルは非常に多いです。解雇時に「言った」「言わない」で紛争に発展するケースもあります。不要なトラブルをさけるためにも、必ず書面に残しましょう。

POINT!

よく「30日分払えば解雇できるんでしょ?」と質問をうけます。これは間違いです。解雇予告手当を払えば、解雇ができるわけではありません。解雇予告手当は解雇をするときの手続き的な話であり、その解雇が妥当かどうか?(不当解雇でないか?)は別の問題です。切り離して考えましょう。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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